平成22年度重要判例解説用資料

(冒頭の + は渉外判例研究会で報告済み又は報告予定の裁判であることを示す。)

平成20年(その3)

- 東京家審平成20・8・7(家月61巻11号65頁)
下記、東京高決平成20・9・16の原審。
+ 東京高決平成20・9・16(家月61巻11号63頁)(2010-09森川)
- 東京地判平成20・10・27(判タ1305号223頁)
国際海上物品運送法、堪航能力、損害賠償額につきCIF価格を基準、相殺。

平成21年(その2)

- 東京地判平成21・1・30(労判988号88頁)(平成19年(ワ)第23290号)
中国会社の雇用され、日本の会社に二重派遣された事案。詳細不明。
+ 東京地判平成21・2・12(判時2068号95頁)(2012-01山田)
韓国判決の承認・執行
- 東京地判平成21・3・10(判時2062号74頁、判タ1310号178頁)
預金債権、質権実行、法例を適用し日本法を準拠法とした。
+ 東京地判平成21・4・21(判タ1315号266頁)(2010-06藤澤)
管轄合意+契約上の地位の移転、主観的併合(特段の事情あるので認められる)
- 前橋家審平成21・5・13(家月62巻1号111頁)
離婚した中国人元夫婦間での親権者(撫育者)の変更
+ 東京地判平成21・6・29(判タ1328号229頁)(2011-01神前)
婚約破棄に基づく損害賠償。両本国法を累積して請求棄却。
+ 東京地決平成21・7・28(判タ1304号292頁)(2010-09宍戸)
米国仲裁協会国際紛争解決センターにおいてなされた仲裁判断の取消しの申立てが棄却された事例。
- 京都地判平成21・8・10(交民42巻4号1037頁)
交通事故、損害賠償額の算定。イスラエル。
+ 東京地(中間)判平成21・11・10(判タ1320号265頁)(2010-06宮澤)
訴訟競合、債務不存在、非排他的管轄合意、管轄肯定。
+ 東京地判平成21・11・17(判タ1321号267頁)(2010-01草間)(平成22年重判4中西)
義務履行地管轄につき客観的事実不証明、財産所在地管轄について特段の事情。管轄否定。
+ 東京地判平成21・11・26(平成20年(ワ)第31480号)(裁判所ウェブ参照(pdfファイル))(2011-01種村)
著作権侵害、法適用通則法17条、日本法。絵画等の美術品の著作権者である原告Xらが,被告Yにおいて香港で開催されるオークションの出品カタログ等にXらが著作権を有する美術品の画像を掲載し,また,その一部をインターネットで公開したことにより,Xらの複製権及び原告Aの公衆送信権を侵害したとして,Yに対し,不法行為に基づく損害賠償の支払を求めた事案。香港法を準拠法とすべしとのYの主張を斥け、日本法を適用した。
+ 大阪地判平成21・11・26(平成20年(ワ)第9732(判時2081号131頁、判タ1326号267頁)、9736、9742号)(2010-03申)
原告である日本企業が、日本に営業所等のない被告に対して、日本の特許侵害に基づく損害賠償と差止を求め、原告は不法行為地に基づく国際裁判管轄がわが国裁判所にあると主張したものの、訴えが却下された事例。
+ 知財高決平成21・12・15(LEX/DB 25441588、平成21年(ラ)第10006号)(2010-06金彦叔)
不正競争準拠法、仮処分。

平成22年(その1)

- 東京高判平成22・1・20(判時2076号48頁,判タ1325号222頁)
日本国籍の亡父と外国籍の母との間の嫡出子として戸籍上記載されている子について、父子関係の不存在確認請求が認められた事例。準拠法への言及なし。
+ 東京地判平成22・1・29(平成19年(ワ)第10395号)(判タ1334号223頁)(2010-11 小川)
(判タ1334号に掲載されため、平成23年リストに移動)
+ 東京地判平成22・2・10(LEX/DB 25441851、平成16年(ワ)第18443号)(2010-11 八並)(平成22年重判1野村)
韓国の楽曲について著作権の信託譲渡を受けた原告から、通信カラオケ事業者である被告に対する損害賠償等の請求を一部認容。
- 東京高判平成22・2・12(家月62巻7号99頁)(平成22年重判2早川吉)
住居侵入、窃盗、強盗保護事件の保護処分決定に対する抗告事件。抗告の権限について、通則法32条でブラジル法により、抗告当時17歳である少年の母には抗告権がないとした事例。
+ 大阪高決平成22・2・18(家月63巻1号99頁、平成21年(人ナ)第9号)(2011-09織田)(平成22年重判5早川眞)
米国ウィスコンシン州裁判所の離婚判決により被拘束者の単独監護者に指定された父が、被拘束者の母及びその両親(被拘束者の祖父母)である拘束者らを相手方として、人身保護法に基づき、被拘束者の釈放及び引渡しを求めた事案。上記州裁判所判決は外国判決承認の要件を充たすとした上で、拘束者らによる被拘束者の拘束の違法性が顕著である場合にはあたらないとして、請求を棄却。
- 名古屋高(金沢支)判平成22・3・10(平成20年(ネ)第196号)
第2次世界大戦中に中国大陸から日本国内へ連行され、Y会社で労働に従事した者等であるXらが、Yおよび国の強制連行、強制労働により精神的苦痛等を被ったとして、Yらに対し、損害賠償等を求めた事案の控訴審。請求棄却。国際私法については、国への請求について準拠法選択を否定。企業への請求について日本法。
+ 東京地判平成22・3・31(平成18年(ワ)第5689号、LEX/DB 25442051、裁判所ウェブ掲載(PDFファイル))(2011-06酒井)
被告が、ソースコードライセンス契約上、外国裁判所が管轄合意されていることを理由として、わが国の国際裁判管轄は認められないと主張したのに対し、契約当事者以外の第三者との間では管轄合意の効力は及ばないとして、国際裁判管轄を肯定した上で、ソースコードライセンス契約を準拠法であるカリフォルニア州法により解釈。
+ 熊本家判平成22・7・6(平成21年(家ホ)第76号)(2010-11多田)
日本人夫とフィリピン人妻の婚姻を重婚を理由にフィリピン法に基づいて無効とすることは公序に反するとした事例
+ 最決平成22・8・4(家月63巻1号97頁、判時2092号96頁、判タ1332号55頁、平成22年(ク)第376号)(2011-09織田)
上記大阪高決平成22・2・18の特別抗告事件。原審は決定によりこれを棄却するのではなく、審問手続を経た上で、判決によりその判断を示すべきであったとしつつ、抗告を棄却した。国際私法に関する判断は行っていない。
+ 知財高判平成22・9・15(平成22(ネ)10001号、10002号、10003号)(2010-11 横溝)(平成22年重判3高橋宏)
上記大阪地判平成21・11・26を破棄差戻し、国際裁判管轄を肯定したもの。
+ 東京地判平成22・9・30(裁判所ウェブサイト、平成21(ワ)6194号)(2011-01嶋)
ウルトラマン等の著作権を巡る事件。国際裁判管轄を肯定した上で、契約については行為地法として、不当利得については送金の目的地であるとして、いずれも日本法を適用。日本の判決と矛盾するタイ判決が存在する事案。