平成14年度重要判例解説用資料

(冒頭の + は渉外判例研究会で報告済み又は報告予定の裁判であることを示す。)

平成11年(その4)

- 大阪地判平成11・3・19(訟務月報48巻8号1909頁)
昭和25年国籍法施行後、昭和25年12月6日民事甲3069通達以前の時点で朝鮮人父により認知された日本人母の非嫡出子は、日本国内法上の朝鮮人としての地位を取得し、平和条約により日本国籍を失ったとされた事例。

平成12年(その3)

- 大阪高判平成12・1・28(訟務月報48巻8号1922頁)
大阪地判平成11・3・19の控訴審判決。内地人女子の嫡出でない子であって、昭和25年9月8日に朝鮮人男子により認知された子は、平和条約発効によっても日本国籍を失わない。
+ 東京地判平成12・7・25(判タ1094号284頁)(02/11/30山田恒久・渉判)
日本法人からスイス法人対する不当利得返還請求訴訟の国際裁判管轄。管轄を否定すべき特段の事情ありとして訴えを却下。
- 東京高判平成12・8・31(訟務月報48巻6号1478頁)
日ソ共同宣言6項後段による日本国によるシベリア抑留者についての外交保護権放棄。憲法29条3項。
- 大阪地判平成12・10・24(判タ1081号241頁)
特許法2条3項の「実施」は日本国内におけるものを意味するので、日本国内で製造して米国に輸出すること、中国から購入して日本を経由することなく米国に輸出することは、特許法101条2号の間接侵害を構成しない。
- 長崎地判平成12・12・6(判タ1101号228頁)
外国籍タンカーによる油濁事故について、油濁損害賠償保障法に基づく請求が認められた事例
- 大阪地判平成12・12・21(判タ1104号270頁)
日本国内で製造して米国に輸出することは、特許法101条2号の間接侵害を構成しない。

平成13年(その2)

+ 東京高判平成13・5・30(判時1797号111頁)(2003-03-15森田)
キューピーの著作権。著作権の譲渡の準拠法は、譲渡の原因関係である契約等の債権行為と、目的である著作権の物権類似の支配関係の変動とを区別し、それぞれの法律関係について別個に準拠法を決定するとし、前者の譲渡契約の準拠法はミズーリ州法人の遺産財団が日本国民に対して日本において効力を有する本件著作権を譲渡するものであるから、日本法を準拠法とする黙示の合意が成立したものと推認され(日本法上、契約は有効)、他方、後者の著作権の支配関係の変動については、第三者に対する排他的効力を有するから、物権について所在地法が適用されるのと同様、保護国の法令である日本法が準拠法となるものと解するのが相当である(日本法上、契約の締結により直ちに移転)、と判示(したがって、控訴人は有効に本件著作権の譲渡を受けている)。仮に、本件著作権が別人に有効な譲渡契約に基づき譲渡されているとしても、支配関係についての準拠法である日本法上、二重譲渡の関係に立つに過ぎず、被控訴人(キューピー株式会社)は上記譲渡が対抗要件を欠くことを主張しうる法律上の利害関係を有しないから、対抗要件の具備を問うまでもない(なお、控訴人は著作権法77条1号に基づく対抗要件も具備している)。以上により、本件著作権の著作権者が控訴人であることの確認はしたが、被控訴人のイラスト等は本件著作物の複製物又は本案物に当たらないとして、差止め及び破棄の請求を棄却した原判決是認。
+ 東京高判平成13・5・30(同判時1797号131頁)(判タ1106号210頁:4件)(2003-03-15森田)
キューピー。職務著作の準拠法。
- 京都地判平成13・8・23(判時1772号121頁)
「浮島丸」事件。乗船していた原告と被告国との間に成立していたと解される旅客運送契約類似の法律関係上の安全配慮義務違反を認めて、損害賠償責任を認めた事例。その他の請求は棄却。
+ 東京家審平成13・9・17(家月54巻3号91頁)(2003-06-21宮澤)
日本に住所を有していたインド人の遺言についての遺言執行者選任申立事件。遺言者の最後の住所地は東京都であるので国際裁判管轄がある。インドは人的不統一法国であり、遺言者はゾロアスター教徒であるが、相続につき同教徒に関する特別法は存在しないので、インド相続法が適用されるところ、インドの国際私法では、不動産については不動産の所在地法、動産については被相続人死亡時の住所地法が適用されるので、反致が成立し日本法による。
- 東京地判平成13・11・12(判タ1087号109頁)
永住資格のない外国人(アメリカ人)からの住宅ローンの申し込みを拒否したことが不法行為に当たらないとされた事例。人種差別撤廃条約違反も否定。

平成14年(その1)

- 東京高判平成14・1・15(法律新聞1484号8頁)
朝鮮人女子挺身隊員として静岡で強制労働させられた韓国人女性からの国家賠償請求。請求棄却の原判決維持。
- 東京高判平成14・1・23(金商1138号31頁、判時1883号34頁)(一審:東京地判平成13・5・31(金商1138号35頁、判時1883号36頁)
結社の自由により、ゴルフクラブへの外国人の入会制限をする理事会決議は、相手方の平等権の重大な侵害する等の極めて例外的な場合を除き、民法90条に反することはない。
+ 東京高判平成14・1・30(判時1797号27頁)(一審の東京地判平成13・6・20も同号36頁にあり)(平成14年度重判)(2003-11-15新川)
山一証券の子会社の法人格を否認。日本法人のオランダ子会社Xが、山一証券Y1のバハマ子会社Y2との間で、スウェーデン信用銀行債をXが買い受け、平成10年3月24日にY2がこれを買い戻す旨の債券現先取引契約を締結したが、Y2はこれに違反して代金を支払わなかった。そこで、XはY1(後に管財人が承継)とY2を被告として提訴。一審は、本件契約の準拠法は黙示の意思により日本法とし、法人格否認の法理に基づくXのY1に対する債務不履行責任の追及は、Y2の法人としての設立手続等を問題とするものではなく、契約上の実質的な当事者であるY1も責任を負うべきであると主張するものであるから、契約準拠法と同様に日本法によるのが合理的であり、また、このように解しても何ら国際的な礼譲に反するものではない、と判示。二審は、新たな理由付けをすることなく、一審判決の上記の準拠法の判断を是認。
+ 東京地判平成14・2・26(未登載)(2005-1-22 北澤)
モネの絵画の横領。「一切の請求に対する責任及びその決済」に関してイングランド法によるとの保険契約上の条項につき、昭和24年にこのような保険証券約款が制定された時に、クレーム精算についてのみ英国法に準拠し、保険契約が成立するまでの経緯については日本の法律慣習によることが確認されていること、日本の保険会社の英文保険証券の国際的流通を円滑ならしめるためには保険金の支払いについて英国法によれば足りることなどに照らすと、保険者の填補責任と保険金決済に関する限り英国法によるが、それ以外の一切の事項については日本法によるとするものであると解されるとし、告知義務違反の問題は契約締結段階の問題であり、これに違反した場合の効果としても解除権(英国法では取消権)が認められているに止まり、解除権が行使されるまでは契約は有効に存続するものであるから契約成立の有効性に関するものであり、日本法が適用され、損害防止義務の問題は、填補責任の問題であり、損害額を最小限に食い止めるという意味において支払保険金に関するものであるから、英国法による。消滅時効の準拠法について、実定法上の制度と性質決定すべきであるとし、保険金請求権の消滅事項の問題は英国法による。また、保険金請求権の履行遅滞による遅延損害金の準拠法は英国法であり、同国法上、裁判所が適当と考える利率を付すことができるところ、「我が国において、・・・商事法定利率年6分の規定が適用されることに照らすと、英国の裁判所も同等の利率により遅延損害金を付すのが通常であると考えられる」ので、判決の前後を問わず、年6分の割合によるべきである。
- 東京高判平成14・3・27(判時1802号76頁)
英国人元捕虜らによる日本国に対する損害賠償請求訴訟。棄却。
+ 東京高判平成14・3・29(未登載)(02/11/30道垣内・渉外判)
ナウル金融公社債。保証人のナウル共和国については、絶対免除が認められる(放棄も国家から国家に対してする必要あり)(大審院昭和3年12月28日判決参照)。主権免除は国家についてだけ認められ、ナウル金融公社のような公法人には原則として認められない。その公法人の国内法における法律関係と関係する他国との国際法上の法律関係に基づき、例外的に免除が認められるときであっても、その放棄は私人に対するものでよい。
+ 東京高判平成14・3・29(未登載)(駒田・2002/9/28渉判、的場・2002/9/21関西)
フレッドペリー商品の並行輸入。シンガポールのライセンシーが製造地に関する約定に違反して製造・拡布した商品の並行輸入につき、「当該商標が外国の許諾権者等により適法に付されたものであることと」という並行輸入が商標権侵害とならないための要件のうちの1つを欠くことを理由に、輸入差止等の請求を認めた事例。結論を同じくする原判決は大阪地判平成12・12・21(判タ1063号248頁)。なお、東京地判平成11・1・28(判時1670号75頁)、東京高判平成12・4・19(未登載)、(東京地判平成13・10・25(判時1786号142頁))は、同じ点につき、ライセンス契約が解除されない限り、商標の出所表示機能が害されるわけではないとして、反対の判断をしている。
- 最判平成14・4・12(民集56巻4号729頁、判タ1092号107頁、判時1786号43頁)(02/11/29判民(東大)・横溝)(平成14年度重判(国際法))
横田基地夜間発着差止等請求事件。「国家の私法的ないし業務管理的な行為についてまで民事裁判権を免除するのは相当でないとの考えが台頭し、免除の範囲を制限しようとする諸外国の国家実行が積み重ねられてきている」が、「外国国家の主権的行為については、民事裁判権が免除される旨の国際慣習法の存在を引き続き肯認することができるというべきである」。
- 福岡地判平成14・4・26(判時1809号111頁、判タ1098号267頁)
第2次大戦中の強制労働被害者から国に対する不法行為に基づく損害賠償請求は棄却されたが、会社に対する請求は一部認容された事例。
+ 大阪高判平成14・6・14(判タ1099号182頁、判時1816号30頁)(一審は大阪地判平成13・5・18訟務月報48巻5号1257頁)(2003-01-11森下)
対価を得る目的による外国税額控除枠の提供取引について、外国税額控除が否認された事例(法人税法69条)。一審判決を取消し。
- 東京高判平成14・7・31(判時1802号139頁)
「ダリ/DARI」という商標が画家のダリを想起させるとの理由から遺族の承諾を得ていないことは国際信義に反するとして商標法4条1項7号該当性を否定した審決が取り消された事例
- 東京地判平成14・8・27(未登載)(判例速報14年6号4頁)(未入手)
731部隊訴訟。国の公権力行使による損害の賠償の問題は法例が対象とする渉外的私法関係に当たらずその適用はない。
- 横浜地判平成14・8・29(法律新聞1513号7頁、判時1816号118頁)
在日米軍施設用地明渡し請求事件。米国への請求については主権免除の例外には当たらないとして却下。「外国国家に対する民事裁判権免除に関しては、国際慣習法上、いわゆる絶対免除主義の原則を維持しながら、例えば、不動産を直接目的とする権利関係の訴訟(請求原因を物権的請求権とするもの)については例外を認めるという立場がとられてきたが、今日では、国家活動をその機能により本来の『主権的行為』と私法的商業的な性質を持つ『業務管理的行為』に二分し、前者についてだけ裁判権の免除を認めようとする立場(いわゆる制限免除主義)が有力となっている、とされる。そして、制限免除主義に立脚すると、主権的行為と業務管理的行為との区分が問題となるが、抽象的には、外国が、主権的権能を行使して公法の分野で行動したか、それとも私人と同じく私法関係に準拠して行動したかを重要な基準としつつ、個々の事案毎に検討判断していくほかない。・・・本件請求は、所有権に基づく土地の明渡訴訟であり、明渡しの対象となる本件各土地は我が国の領土内にあるから、一見すると、絶対免除主義のもとにおいても例外として裁判権免除が否認される場合に該当するようにも見える。しかしながら、本件各土地を含むいわゆる『上瀬谷通信基地』は、我が国と被告との間で締結された条約である安保条約6条及び地位協定2条1項(a)に基づき、・・・我が国の安全保障に寄与するため、・・・これに米軍を駐留させているのであり、同基地における米軍の駐留及び活動が、その目的及び行為の性質上、主権的行為であることに疑問の余地はない。」被告は口上書により応訴意思のない旨を回答し、また、日米間には国際慣習法と異なる特段の取り決めもないので、結局、民事裁判権は及ばない。
なお、同日、日本政府に対する同様の請求も地位協定に照らし請求棄却判決あり(判時1816号86頁)。
- 大阪地判平成14・9・20(法律新聞1516号7頁)
外国税額控除分追徴課税処分取消しを命じた事例(旧三和銀行)。上記大阪高判平成14・6・14参照。
- 最判平成14・9・26(民集56巻7号1551頁、判時1802号19頁、判タ1107号80頁)(平成14年度重判)(高部・ジュリ1239号130頁)
特許権に基づく差止及び廃棄請求の準拠法は、条理により当該特許権登録国法であり、本件差止及び廃棄請求はアメリカ法によることになり、同法によれば、日本での行為や日本にある侵害品についても請求が認められる余地があるが、日本では特許権については属地主義が採用されており、上記アメリカ法に基づく請求を認めることはわが国の特許法秩序の基本理念と相容れず、法例33条に反するので適用しない。
米国特許権侵害を積極的に誘導する行為を日本で行ったことを理由とする損害賠償請求については法例11条により原因事実発生地であるアメリカの法により、同国法ではこの請求は認められる余地があるが、同条2項により、属地主義をとる日本の特許法の下では、特許権の効力が及ばない、登録国の領域外において特許権侵害を積極的に誘導する行為について違法ということはできず、不法行為の成立要件を具備しないので、結局、この請求は認められない。
- 東京地判平成14・10・15(法律新聞1518号5頁、判時1821号132頁)
 バドワイザーを製造するアメリカ会社が、チェコ製造者と日本の輸入会社とを被告として商標権侵害を理由とする輸入差止等を請求した事案。一部認容。
- 東京地判平成14・10・15(法律新聞1518号5頁)
旧日本軍の従軍慰安婦とされて被害を受けたと主張する台湾人からの国家賠償請求。請求棄却。不法行為責任については、準拠法に触れることなく、国家賠償法6条により国家無答責の法理を適用。
+ 最判平成14・10・29(民集56巻8号1964頁、判時1806号41頁、判タ1110号118頁)(平成14年度重判)(2004-11-13 出口)
自動車の所有権取得につき、運行の用に供し得る状態で取引の対象とされている場合とそうでない状態で取引の対象とされている場合とに分け、前者の場合には、買主にとっての法的透明性が高く、取引の安産に資する「利用の本拠地法」によるべきであるが、後者の場合には、登録がないものとして取引の対象とされているが、実際には他国で登録されていたような場合も含め、国際私法上の取引の安全の観点から、一般の動産と同様に、当該自動車が他国の仕向地への輸送の途中であり物理的な所在地法を準拠法とすることに支障があるなどの事情がない限り、物理的な所在地法を準拠法とすることが妥当である。本件では、後者の場合に当たり、日本法により即時取得が認められる。
- 東京地判平成14・11・11(判時1806号84頁)
ドイツ人等の入浴を拒否した公衆浴場に対し不法行為責任を認めた事例。
+ 東京地判平成14・11・18(判時1812号139頁、判タ1115号277頁)(平成14年度重判)(2003-01-11樋爪)
カリフォルニア州法人の被告のアメリカ国内での行為がアメリカ著作権を侵害するとの理由による行為差止と損害賠償請求について、職権で国際裁判管轄を判断し、日本は不法行為地ではなく、損害賠償金支払義務の履行地が原告の住所地である日本であるとしても、被告の予測可能性、被告の経済活動の本拠地等を考慮すると、義務履行地に基づいて日本の管轄を肯定することは当事者の衡平、裁判の適正・迅速を期するという理念に反する特段の事情があるとし、訴えを却下した事例。なお、被告は先にカリフォルニアで原告に対して本件著作権の確認等を求める訴えを提起したが、これは不便宜法廷地であるとして訴え却下した判決が確定しているが、これは被告が別訴についてカリフォルニアで審理判断を受けられなかったに過ぎず、また、カリフォルニアの裁判所が別訴について日本がより便宜な法廷地であると判断したに過ぎないから、これらの理由により日本の国際裁判管轄が生ずるわけではない。また、証拠が日本にあることや被告と日本との関連性から国際裁判管轄を認めることもできない。
+ 最判平成14・11・22(判時1808号55頁、判タ1111号127頁)(平成14年度重判)(2003-03-15国友)
国籍法2条1号の血統主義は、単なる生物学的出自を示す血統を絶対視するものではなく、子の出生時に日本人の父又は母と法律上の親子関係があることをもってわが国との密接な関係があるとして国籍を付与しようとするものであり、生来的な国籍取得はできる限りこの出生時に確定的に決定されることが望ましく、生後認知はされるか否かが出生時には未確定であるので、出生後の認知の認知により出生に遡って法律上の父子関係があるものとは認めず、生来的な国籍付与はしないとすることは合理的な根拠があり、胎児認知された非嫡出子との間で憲法14条に反する差別があるとはいえないとの理由から、婚姻関係のない日本人父とフィリピン人母との間に生まれた子につき、出生の約2年9箇月後に父が認知した事例において、国籍を付与しなかったことに違法はないとした原判決を容認。
なお、法廷意見は、嫡出子と非嫡出子との間で国籍の伝来的な取得の取扱いに差異を設ける国籍法3条が憲法14条に違反するとの主張は、仮に違憲だとしても本件の請求を基礎づけることにはならないとして憲法判断を示さなかったが、補足意見では、3名の裁判官が国籍法3条が認知に加えて「父母の婚姻」を国籍の伝来的取得の要件としていることに合理性はないとの意見を表明している。
- 東京地判平成14・11・26(判時1803号3頁、判タ1106号283頁)
外資系日本子会社の従業員に対して親会社から付与されたストックオプションの権利行使による利益は一時所得であるとした事例(同日同裁判所において、別会社について下された判決は、労判842号40頁に掲載されている)
+ 東京地判平成14・11・29(労判842号5頁)(2003-09-20高畑)
日本人元従業員から日本法人に対する特許法35条に基づく補償金請求事件。特許法の属地主義から、特許法35条はわが国の特許を受ける権利についてのみ適用され、外国における特許を受ける権利に適用又は類推適用されることはないとし、外国における特許を受ける権利についての同上に基づく対価請求を棄却。(当該外国法に基づく判断は不要か?適用法規を間違えると請求棄却か?)
 外国における特許を受ける権利を含む権利の譲渡契約の準拠法は法例7条1項又は2項により日本法であるが、特許法35条は外国における特許を受ける権利に適用されるものではなく、譲渡契約の成立及び効力の準拠法によって定められるものではない(趣旨不明確)。原告は,企業が従業員から不当な対価で職務発明に係る外国特許を受ける権利を譲り受けたときは,公序良俗に違反し権利移転は無効となると主張するが,外国における特許を受ける権利については,当該国の特許法によって規律されるのであるから,譲渡契約で相当額で譲渡するとの合意がされなかったとしても,直ちに,その契約が公序良俗に反して無効となることはないものというべきである。以上の通り判示。

判時1769-1803

判タ1079-1108

金融商事判例1135-1148

金融法務事情1634-1651

労働判例817-828

 

最判 55/6-56/4

高等裁判所裁判例集 54/2

東京高裁判決時報 51/1-12

訟務月報 48/1-48/9

家月 54/1-54/11

行政事件裁判例集 49巻以降休刊

知的裁集 30巻以降廃刊

労働関係事件民事裁判例集 49巻以降廃刊